改憲問題対策法律家6団体連絡会の意見書「新三要件の従前の憲法解釈との論理的整合性について」の紹介

改憲問題対策法律家6団体連絡会が6月15日に「衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」の各委員宛に意見書を提出しています。

それは、「新三要件の従前の憲法解釈との論理的整合性について」(内閣官房・内閣法制局)に関する意見書です。

以下、これを紹介いたします。末尾には、PDFファイル版を貼り付けます。

 

衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 委員各位

「新三要件の従前の憲法解釈との論理的整合性について」

(内閣官房・内閣法制局)に関する意見書

                    2015年6月15日

 

改憲問題対策法律家6団体連絡会

社会文化法律センター      代表理事 宮里 邦雄

自 由 法 曹 団        団  長 荒井 新二

青年法律家協会弁護士学者合同部会  議  長 原  和良

日本国際法律家協会     会  長 大熊 政一

日本反核法律家協会     会  長 佐々木猛也

日本民主法律家協会     理 事 長 森  英樹

                                 【お問い合わせ先】

日本民主法律家協会

電話03-5367-5430 FAX03-5367-5431

 

謹啓 5月来の貴委員会でのご活動に敬意を表します。

私たち法律家6団体は、過日、現在貴委員会に付託されている安保関連法案について、別紙のような共同アピールを発表いたしました。

この間、6月4日の衆議院憲法審査会において参考人として招かれた3名の憲法学者がいずれも「安保関連法案は違憲」との意見を述べたことや、それがその後の貴委員会での審議でとりあげられたことを受けて、内閣官房と内閣法制局は、連名で「新三要件の従前の憲法解釈との論理的整合性について」と題する文書(以下、標記文書という。)を6月9日付で公表しました。

私たちは、この文書における昭和34年12月16日の砂川事件最高裁大法廷判決(以下、「砂川最高裁判決」という。)への言及や、昭和47年10月14日に参議院決算委員会に提出された政府資料「集団的自衛権と憲法の関係」で示された政府見解(以下、「昭和47年の政府見解」という。)の理解のし方について、根本的な疑義を抱くものです。

仮にこの文書が、政府作成の文書として相応の重みを貴委員会での法案審議においてもつならば、議論の正確さ、公正さが失われかねないと判断し、このたび、以下のような文書を作成した次第です。よろしくご覧の上、国権の最高機関であり唯一の立法機関である国会の委員会として、法案について熟議を尽くした上で、これを廃案にしていただければ幸いです。

 

 

  1. 砂川最高裁判決は、集団的自衛権の合憲判断を下したものではないこと

標記文書は、砂川最高裁判決の「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわねばならない」という判示を引き、それが「昭和47年の政府見解」と軌を一にしていることをもって、今回の「新三要件」における、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」が発生した際に我が国が武力行使をなしうることの根拠づけにしようとしています。しかし、以下の理由から、同判決は、集団的自衛権の行使を含みうる「自衛の措置」を容認したものと読むことはできないと考えます。

①砂川最高裁判決で争われた事案は、駐留米軍に日本の防衛を託すること、その根拠となっている日米安保条約の憲法適合性であって、他国に対する武力攻撃の際に日本が武力を行使できるかの問題ではありません。

②「標記文書」が引用する文章は、判決理由中の傍論にあたる部分であって、判決を導き出す直接の理由ではありません。それゆえに、引用された文は、最高裁判例としての拘束力を持ち得るものとはいえません。

③なによりも、本件において最高裁は、いわゆる「統治行為論」を用いて、安保条約と駐留米軍についての憲法判断を回避したのであって、それらを合憲と判断したわけではありません。

以上の理由から、砂川最高裁判決を、集団的自衛権の行使を含んだ「自衛の措置」を容認したものと読むことはできないものと思われます。そのような読み方は、同判決の判決理由の読み方として著しく偏頗なものと判断せざるをえません。

 

  1. 「昭和47年の政府見解」を「基本的な論理」の部分と「結論」に区別して、後者を変更可能とすることはできないこと

標記文書は、「昭和47年の政府見解」の中の、憲法9条が「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない」と結んでいるくだりと、その措置は「必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」と結んでいるくだりを「基本的な論理」を示すものとしつつ、その後の「そうだとすれば」で始まる部分を「結論」として両者を区別し、この「結論」だけを変えたとしています。すなわち、安全保障環境の変容などを理由にしつつ、「自衛のための措置」を「我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしてきたこれまでの認識を改め」、新三要件によって、「限定された場合において他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とする武力の行使」を認めることとしたというのです。

しかし、「昭和47年の政府見解」のこのような読み方は断じて認められません。現に過去にこのような読み方を示した内閣法制局長官はおらず、6月10日の貴委員会において、横畠裕介長官は、自分の代になってこのような読み方するようにしたと述べました。

「昭和47年の政府見解」は、標記文書にいう「基本的な論理」の部分と「結論」の部分は、不可分一体ないしは表裏の関係にあるものと読むべきであり、集団的自衛権の否認を述べたものとして理解すべきです。

以上の理由により、「昭和47年の政府見解」からは、新三要件が示すような「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」が発生した際の我が国による武力行使を導き出すことはできません。そのような読み方は、あからさまな「読み替え」であり、それは。政府の憲法解釈関連文書がもつ法的安定性の確保における意義を著しく損なうものです。

以上                                      

 

意見書 衆院平和安全法制特委あて(確定版)

 

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中