6.4.憲法審査会・憲法学者意見陳述(その1)

6月4日の憲法審査会における憲法研究者3氏の意見陳述のうち、自民党推薦の参考人・長谷部恭男さん(早稲田大学教授)の安保法制に関する意見表明の部分を紹介します。

なお、当日の会議録は、
衆議院トップページ > 立法情報 > 会議録 > 憲法審査会 > 第189回国会 憲法審査会 第3号(平成27年6月4日(木曜日))
で全文を読むことができます。
http://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025018920150604003.htm

また、審議の映像は、衆議院インターネット審議中 > ビデオライブラリ のうちから
開会日:2015年6月4日 会議名:憲法審査会
を見ることができます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=44973&media_type=fp

また、YouTube からは次で見ることができます:
フルバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=ARh6N3q9SP0
https://www.youtube.com/watch?v=N61Bv505D9U

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○中川正春 委員(民主党) 率直にここでお話を聞きたいんですけれども、先生方は、今の安保法制、憲法違反だと思われますか。それとも、その中に入っていると思われますか。先生方が裁判官となるんだったら、どのように判断されますか。全員。三人とも。

○長谷部参考人 安保法制というのは多岐にわたっておりますので、その全てという話にはなかなかならないんですが、まずは、集団的自衛権の行使が許されるというその点について、私は憲法違反であるというふうに考えております。従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつきませんし、法的な安定性を大きく揺るがすものであるというふうに考えております。

それからもう一つ、外国の軍隊の武力行使との一体化に自衛隊の活動がなるのではないのか、私は、その点については、一体化するおそれが極めて強いというふうに考えております。

従前の戦闘地域、非戦闘地域の枠組みを用いた、いわばバッファーを置いた、余裕を持ったところで明確な線を引く、その範囲内での自衛隊の活動にとどめておくべきものであるというふうに考えております。

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北側一雄 委員(公明党)、、、恐らく先生方はいろいろな御意見、御批判があるかと思いますけれども、そういう中で、あの閣議決定があったということでございます。それを今回、法案に明文化したということでございまして、改めて先生方の御意見を賜れればと思います。三人の先生方からお願いいたします。

○長谷部参考人 どうもありがとうございます。

先生御指摘のとおり、憲法九条を見ただけでは、自衛の限界というのははっきりとわからないわけです。ただ、文言を見た限りでは、たとえ自衛が認められるとしても、極めて極めて限られているに違いないことは、それは大体わかります。

その上で、内閣法制局を中心として紡ぎ上げてきた解釈があるわけです。解釈というのは何のために存在するかというと、先生御指摘のように、文言を見ただけで、条文を見ただけではわからない、わからない場合に、解釈を通じて意味を確定していくということになります。

従来の政府の見解というのは、我が国に対する直接の武力攻撃があった場合に、かつ、他にそれに代替する手段がない、必要性があるという場合に、必要な最小限度において武力を行使する、それが自衛のための実力の行使だということを言っていたわけでございまして、これはまことに意味は明確であるというふうに私は考えます。

ただ、昨年七月一日の閣議決定において示されていた、限定的ながら集団的自衛権行使ができる場合があるのであるという、そういう変更がなされているわけなんですけれども、その結果、一体どこまでの武力の行使が新たに許容されることになったのか、この意味内容が、少なくとも、従来のいろいろな先生方の御議論を伺っている限りでははっきりしていない。

文言を見ただけではわからないから、それを意味を明確にするために解釈をしているはずなんですが、解釈を変えたために意味はかえって不明確化したのではないかというふうに私は考えております。

また、先ほどの繰り返しになりますけれども、従来の政府の見解、御指摘の憲法十三条に言及された、その基本的な論理の枠内におさまっているかといえば、私は、おさまっていないと思います。他国への攻撃に対して武力を行使するというのは、これは自衛というよりはむしろ他衛でございまして、そこまでのことを憲法が認めているのか、そういう議論を支えることは、私は、なかなか難しいのではないかというふうに考えているということでございます。

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大平喜信 委員(日本共産党)、、、、こうした重大な変更を一内閣の判断で行い、さらに立法作業まで強行したことは、私は、立憲主義の破壊そのものであり、断じて許されるものではないと考えますが、こうしたやり方が立憲主義との関係で許されるのかどうかについて、三人の皆さんにお伺いしたいと思います。

○長谷部参考人 どうもありがとうございます。

内閣法制局を中心とする政府の憲法解釈を変更することが決して許されないのかということになりますと、私は、そうではないというふうに考えます。

現に、政府の憲法解釈は変更された例がございます。例えば、靖国神社への公式参拝の可否の問題でありますとか、自衛官と文民条項との関係が典型的な例として知られているところでございます。

ただ、これは先ほどの私の話と重なるところでございますけれども、昨年七月一日の、集団的自衛権も行使されることが許容される場合があり得る、あの閣議決定による政府の憲法解釈の変更は、要するに、あの閣議決定の文面自体が、基本的な論理の枠内であることと法的な安定性が保たれることを政府の憲法解釈変更の許容度を示す要件としているんですけれども、いずれの点でもやはり大いに欠陥がある。従来の政府の憲法解釈の基本的な論理の中におさまっていない。個別的な自衛権のみが許されるという、その論理によって、なぜ集団的自衛権の行使が許されるのか、その説明が十分とはとても言えないものであるというふうに考えますし、その変更の結果として、では、どこまでも武力の行使は許されることになったのか、その点も不明確でございまして、法的な安定性も保たれているとは言えないというふうに考えております。

その点におきまして、立憲主義に対してももとるところがあるというふうに私は考えております。

○大平委員 、、、、 今度の安保法制の内容について、改めて、現行憲法の範囲内で許されるのかどうか、このことについて、次にお聞きしたいと思います。

今度の法案では、非戦闘地域という概念を取り払い、自衛隊の活動範囲が拡大をし、そこで、戦闘行為と一体不可分である兵たん活動を行うこと、また、米軍等の部隊の武器等防護、こうした武器使用の権限が拡大すること、そして、集団的自衛権行使による他国領域内での敵基地攻撃についても憲法解釈上は可能だという答弁もありました。

私は、このどれをとっても、明らかに、先ほどもありましたが、憲法九条の一項、二項に反していると考えますが、先生方のこの法案の内容についての御意見を伺いたいと思います。

○長谷部参考人 現在審議されております安保法制と言われるものは、極めて多岐、広範に及ぶものでございますので、内容については一つ一つ本当は議論しなくてはいけないことでございます。

例えば、私は、PKO活動に参加する自衛隊の武器使用の範囲の拡大については、必ずしも直ちに憲法に反するというふうには言えないところがあるとは思います。

ただ、先ほども申し上げたことですけれども、他国の軍隊の武力行使との一体化の問題に関しましては、従来の政府の見解というのは、よくこれは大森四要素と言われる。具体的に言うと、他国の軍隊の武力行使の内容、そして自衛隊の後方支援活動の内容、両方の地域的な関係等を個別具体に総合的に考慮していく、その結果として武力行使の一体化が起こっているかどうかを決めるという話になるんですが、ただこれは、では現場の指揮官がその都度その都度判断できるかというと、それはそうはいかない。いかないものですから、一歩引いたところで、余裕を持って明確な線を引くというのが、戦闘地域と非戦闘地域を分ける、そういう工夫であったはずであります。

この非戦闘地域、戦闘地域の区別をなくしてしまうということになりますと、本当にその場その場の指揮官の判断に結論が委ねられるということになりますので、その結果として、武力行使の一体化が生ずるおそれが極めて高くなる、そういうふうに私は恐れております。

○大平委員 、、、、 今度の安保法制は、憲法九条にもそうなんですけれども、日米安保条約の取り決めからも逸脱をしているではないかという意見も伺いますが、皆さんの御意見はいかがでしょうか。

○長谷部参考人 御案内のとおり、日米安保条約というのは、それぞれ、締約国が各国の憲法の規定と手続に基づいてそれぞれの義務を果たすということになっておりますので、その点からいたしましても、憲法に反することはそもそもできないはずでございます。その点で、先ほどの私の答えと重なることになりますが、幾ら日米安保条約に基づいているからといっても、憲法に反することができるはずはないということになるだろうと思います。

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