民科法律部会理事会声明「安保関連法案の強行採決に抗議し、そのすみやかな廃案を求める」の紹介

民主主義科学者協会法律部会(民科法律部会)理事会の声明「安保関連法案の強行採決に抗議し、そのすみやかな廃案を求める」(2015年7月26日)をご紹介いたします。

 

安保関連法案の強行採決に抗議し、そのすみやかな廃案を求める

 

安倍晋三内閣が国会に提出した自衛隊法など既存10 法を一括して改正する「平和安全法制整備法案」と新設の「国際平和支援法案」(以下では、合わせて安保関連法案と呼ぶ)は、2015年7月16日、ほとんどの野党議員が審議は尽くされていないとしてこれに反対し欠席する中、自民・公明などによる強行採決の末、可決された。私たち民主主義科学者協会法律部会(以下、民科法律部会)は、いかに相応の時間が費やされたとはいえ、改正法案10本を無理やり一つにまとめ、審議の中で明らかになった数々の違憲の疑いなどの問題点をかかえたまま、このような強引な国会運営を行ったことに対して、国民主権と議会制民主主義の精神に悖るものとして、断固抗議するものである。

私たち民科法律部会は、すでに6月24日、他の研究教育団体とともに、「安保関連法案(戦争法案)に反対し、そのすみやかな廃案を求める研究団体共同アピール」を発表した。その中で、大要、次の点を安保関連法案の問題点として指摘した。①法案策定までの手続が、国民主権を踏みにじり、「国権の最高機関」たる国会の審議をないがしろにするものであり、憲法に基づく政治、立憲主義をわきまえないものであること、②自衛隊法と武力攻撃事態法の改正は、歯止めのない集団的自衛権行使に道を開き、憲法9 条に明白に違反するものであること、③他国軍隊に対する自衛隊の支援活動としての、重要影響事態法案における「後方支援活動」と国際平和支援法案における「協力支援活動」は、いずれも、「外国の武力行使と一体化」するものであり、そこでの自衛隊の支援活動は憲法9 条1 項が禁ずる「武力の行使」に該当すること、④自衛隊法改正案の中の米軍等の武器等防護のために自衛隊に武器の使用を認める規定は、自衛隊が平時から他国軍と事実上の「同盟軍」的な行動をとることを想定するものであり、武器の使用は武力の行使までエスカレートする危険をはらむものであること、などである。

しかし、安倍内閣と自民・公明両党は、多くの憲法研究者、「安保関連法案に反対する学者の会」の呼びかけに賛同した10000人を超える学者、弁護士会、内閣法制局長官経験者をはじめとして、全国津々浦々から寄せられた国民の反対の声や慎重審議の要求に耳をかそうとせず、衆議院の特別委員会と本会議で強行採決を行い、法案を通過させるにいたった。

この間の法案審議において、この安保関連法案が憲法9条その他に反することがますます明らかになっている。それはたとえば、主なものでも、①「存立危機事態」における「我が国と密接な関係にある他国」や「存立危機武力攻撃」などの概念がきわめて不明確であり、歯止めのない集団的自衛権行使につながりかねないこと、②砂川事件最高裁判決を集団的自衛権行使容認の根拠とすることはまったくの失当であること、③1972年の政府見解の「読み替え」による集団的自衛権容認には道理がないこと、④自衛隊による「支援活動」は外国の武力行使との一体化を否定できず、憲法9条1項に違反するものであること、⑤自衛隊による米軍等の武器等防護は、武力の行使すなわち集団的自衛権行使へと発展しかねないこと、などがある。

また、議会制民主主義に必要な審議の時間をとらず(そのことはPKO法案と廃案になった国連平和協力法案の審議の際には衆議院で158時間の審議時間をとったことと比較しても明らかである)、さらに内閣が野党から出された質問に対して真摯な答弁を行おうとしなかったことにより、多くの重要な論点が、事実上手つかずのまま放置されている。たとえば、「存立危機事態」、「重要影響事態」、「武力攻撃予測事態」などの概念の関係が不明確であり、「存立危機事態」の際の地方公共団体、指定公共機関の協力の内容と義務付けの度合いが不明確である。そして、武力の不行使と戦力の不保持を定めている憲法9条の下で法案を用意したことにより、支援活動に当たる自衛隊員は、戦闘員として扱われず、他方、武器を携帯しているために文民としても扱われないおそれがあり、さらには、活動中の武器使用によって民間人を死傷させてしまった場合の自衛隊員が負うべき責任が、不明確になっている。これらは、今回の法案が、日本国憲法の下での法体系とまったく整合性のないことから生じる矛盾である。

私たち民科法律部会は、1946年に日本国憲法の成立と相前後して設立された民主主義科学者協会の部会として生まれ、「民主主義法学の発展を図ることを目的とする」と1957年制定の規約で定めた学会である。これまで、その趣旨にのっとり学術総会や研究会などで憲法9条、平和主義、安保条約、憲法改正問題などについての研究を重ね、『安保改定50年』(2010年)、『改憲を問う』(2014年)、機関誌『法の科学』などで研究成果を公表してきた。戦後「70年」という大きな節目の年に、私たちの研究の基盤でもある平和、人権、民主主義の憲法理念が大きくゆがめられようとしている今、理事会の責任において以下を決議するとともに、この法案の問題点についての認識をひろく市民と共有して、これを廃案に導くことで民主主義の発展に資するべく、学習会やシンポジウム等に積極的に取り組んでいくことを決意する。

1、衆議院における安保関連法案の審議と強行採決は、議会制民主主義に反するものである。これについて強く抗議する。

2、安保関連法案は、憲法9条に反しており、その危険性がますます明らかになった。このことにかんがみて、法案のすみやかな廃案をかさねて強く求める。

2015年7月26日

民主主義科学者協会法律部会理事会

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