雑誌『世界』8月号の長谷部恭男・早稲田大学教授インタビュー記事の紹介

長谷部恭男・早稲田大学教授は、憲法研究者3名の意見陳述が行われた6月4日の衆議院憲法審査会において自民党推薦の参考人として安保関連法案を違憲と明言しました。

そのときの意見表明の部分については、この共同ブログでも紹介しました。

6.4.憲法審査会・憲法学者意見陳述(その1)

 

さて、その長谷部教授のインタビュー記事が岩波書店の『世界』2015年8月号に掲載されていますので、簡単にご紹介します。

 

「長谷部恭男教授に聞く 安保法案はなぜ違憲なのか:『切れ目』も『限界』もない武力行使」、『世界』2015年8月号(岩波書店)、52-57頁。

 

「安保法案はなぜ違憲なのか」。

 

とってもストレートなタイトルの記事。

 

このブログを覗いてくださる皆さんの「そうそう!それが聞きたい!」という声が聞こえてきそうです。

 

長谷部教授へのインタビューは、昨年の7月1日閣議決定に対する評価からはじまり、法案と国会での答弁に対する評価、憲法審査会後に出された憲法研究者に向けられた反論への応答を経由して、「もしも法案が成立したら」にたどり着く。

 

なかでも多くの人が気になっているのは、政府が引き合いに出し続ける砂川事件最高裁判決が、本当に憲法9条の下で集団的自衛権の行使を認めるものなのか、という問題。

 

長谷部教授の答えは明快。

 

そもそも、この砂川事件で問題となったのは、安保条約に基づいて米軍が日本に駐留することが合憲かどうか。

 

政府は、この判決から「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない」という部分を抜き出してくる。

 

ところが、この段落の結論に目を向けると、「憲法9条は、わが国がその平和と安全を維持するために他国に安全保障を求めることを、なんら禁ずるものではない」と最高裁は言っている。

 

すなわち、最高裁は「9条は日本がアメリカに安全保障を求めることを禁じていないと言っているだけ」であり、この判決は「日本の集団的自衛権とは関係がありません」(55頁)。

 

ちなみに、砂川事件最高裁判決が集団的自衛権の行使を容認するものではないことは、このブログの過去の記事を見ていただければ分かるように、多くの憲法研究者が指摘していることです(ブログの検索窓に「砂川」と入れて検索してみてください)。

 

長谷部教授による応答や、これら他の憲法研究者の分析を踏まえると、政府が《 砂川事件最高裁判決中毒(poisoning) 》に陥っていることは明らかです。

 

他にもさまざまな議論が登場するので、とても読み応えがあります。

 

長谷部教授の他の受け答えも、迷宮に入ることなく、スッと頭に入ってきます。

 

その理由は、「存立危機事態」や「重要影響事態」をはじめとする最近の政府答弁が分かりにくい、という多くの人が抱いている感覚を長谷部教授自身も共有しているからでしょう。

 

分かりにくいことを政府に示し、きちんと説明させる。

 

あまりにも当然なことを強く感じさせる記事です。

 

「この安保関連法案が成立してしまったら、この国のかたちはどうなってしまうのでしょうか」

 

インタビュアーのこの最後の質問に対する長谷部教授の答えは、シンプルで、衆院の強行採決を目の当たりにして「シュン」としている場合ではないことを痛感させられます。

 

ぜひ書店でお買い求めいただき、当ブログの記事とあわせて、この夏の勉強会などでご活用ください。

 

岩波書店の雑誌『世界』HP

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