安保関連法の常軌を逸した強行採決に抗議し、その速やかな廃止を求めるとともに、法律の発動を許さず、廃止までたたかう市民と連帯することを決意する憲法研究者の声明

安保関連法案等を批判する全国の憲法研究者有志の声明については、これまで紹介してきました。

「安保関連法案に反対し、そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明」の紹介

「安保関連法案の強行採決に抗議するとともに、そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明」の紹介

統合幕僚監部内部文書に関わり国会の厳正なる対応を求める緊急声明

 

さて、

本日、新しい声明が発表されました。

それは、「安保関連法の常軌を逸した強行採決に抗議し、その速やかな廃止を求めるとともに、法律の発動を許さず、廃止までたたかう市民と連帯することを決意する憲法研究者の声明」です。

賛同者は、208名(2015年10月9日現在)です。

以下、この声明とその賛同者をご紹介いたします。

安保関連法の常軌を逸した強行採決に抗議し、その速やかな廃止を求めるとともに、法律の発動を許さず、廃止までたたかう市民と連帯することを決意する憲法研究者の声明

 

、2015 年9月17日、与党は、議会制民主主義国家において当然に必要な国会における審議を尽くさないまま、常道を逸した国会運営をおこない、国会法、両院の議院規則および先例に抵触する疑いもある欺瞞的な手法をも駆使して、安保関連法を参議院特別委員会で強行採決し「可決」させた。またおなじく19日には参議院本会議で、同法を強行採決し「可決」させた。すでに憲法研究者の有志は、この安保関連法案が明白に憲法9条に違反するとかんがえ、それが国会に上程されたのちの6月3日、衆議院で強行採決されたのちの7月28日と、繰り返して問題性を指摘し、抗議してきた。そしていま、政府・与党が、立憲主義を否定するこのような法律を「成立」させたことをうけて、満身の怒りをもって、わたしたちはここに抗議声明を発表する。

、そもそも安保関連法は、集団的自衛権の行使を容認する昨年7月の閣議決定に基づいており、憲法9条に明らかに抵触する憲法解釈に基づいたものである。このことは多くの憲法研究者のみならず、全国の多数の学者、元裁判官、内閣法制局長官経験者の一致した見解である。にもかかわらずこのような法律を成立させるということは、立法行為自体が憲法を頂点とする法秩序を形骸化させるものであり、まったく憲法的な正当性をもたないものである。

、すでに憲法研究者の有志は6月3日の声明で、この安保関連法案について、歯止めのない「存立危機事態」における集団的自衛権行使を容認するものであること、地球のどこででも自衛隊が「後方支援」の名の下に米軍等と一体化すること、「武器等防護」を理由として平時から米軍等と「同盟軍」的関係を構築させようとするものであることを指摘した。

また、7月28日付の憲法研究者の声明では、「存立危機事態」における「我が国と密接な関係にある他国」や「存立危機武力攻撃」などの概念がきわめて不明確であり、歯止めのない集団的自衛権行使につながりかねないこと、砂川事件最高裁判決を集団的自衛権行使容認の根拠とすることはまったくの失当であること、1972年の政府見解の「読み替え」による集団的自衛権容認には道理がないこと、自衛隊による「後方支援」等による外国の武力行使との一体化は否定できず、憲法9条1項に違反するものであること、自衛隊による米軍等の武器等防護は、武力の行使すなわち集団的自衛権行使へと発展しかねないことを指摘した。

国会審議を通じて、これらの疑念は払拭されるどころか、ますます深まっていった。

、安保関連法は、自衛隊の海外派兵をすすめ、米軍など他国軍隊と一体化した軍事行動に自衛隊を動員させる危険性のきわめて高い法律案である。にもかかわらず、その基礎概念は不明確であり、そのため軍事力行使についての法的な縛りは有効ではない。 また法律制定を必要とする事実が存在しないことは、国会審議の中で、首相みずからが認めるところである。 そして平和を実現するという法の目的と自衛隊を多国籍軍や「国連の統括しない」PKOなどに参加させ、武器を運搬し、発進準備中の軍用機に給油を行い、さらには駆けつけ警護をさせるという法の採用する手段との間には、なんらの合理的関連性もない。

、これらの重要な論点の審議が尽くされず、政府の答弁が二転三転し、政府が提出を約束した資料なども未提出のままで、かつ9月16日開催の地方公聴会についての報告もせずに、これほど重要な法案の審議をうちきってしまった与党自民党・公明党の責任は重い。これは、審議における手続き上の疑念とあいまって、国民主権と議会制民主主義からの重大な逸脱でもある。

、しかも国会審議のなかで明らかになった自衛隊の内部文書は、成立する前からすでに自衛隊制服組が、法律成立を前提としたPKOの計画を進めていたこと、それどころか法律案が作成される前に、自衛隊幹部がアメリカに対して、法律の8月までの成立を約束していたことなどを明らかにした。こういった制服組の暴走を制止するどころかかえってそれを擁護する安倍内閣の下で、安保関連法が運用されることについて、わたしたちは深く危惧している。このことは、国民と国民代表による自衛隊の統制が実質的に行われないままで、自衛隊が自律的に米軍と一体化しつつ、暴走することにつながりかねないからである。

、以上のことから、あらためてこの法律に憲法研究者の立場から反対し、強行採決・「可決」に抗議し、その速やかな廃止を求める。

、この法案に反対する高校生や大学生ら若者も含む圧倒的に多くの市民の声は国会周辺を取り囲んだのみならず、全国各地で新緑が芽吹くかのように広がった。ここに日本社会のあたらしい民主主義の萌芽がある。このあたらしい芽吹きを、研究者の立場から今後とも支持し、連帯し、安保関連法の発動を許さず、安保関連法の廃止を目指し続ける決意であることを、わたしたちは今日、ここに表明する。

                       2015 年10 月9 日

               賛同

青井未帆(学習院大学教授)愛敬浩二(名古屋大学教授)青木宏治(関東学院大学教授)青野篤(大分大学准教授)赤坂正浩(立教大学教授)穐山守夫(明治大学法学部兼任講師)浅川千尋(天理大学教授)浅野宜之(関西大学教授)麻生多聞(鳴門教育大学教授)足立英郎(大阪電気通信大学教授)新井信之(香川大学教授)飯尾滋明(松山東雲短期大学)飯島滋明(名古屋学院大学准教授)飯野賢一(愛知学院大学教授)井口秀作(愛媛大学教授)池端忠司(神奈川大学教授)石川多加子(金沢大学准教授)石川裕一郎(聖学院大学教授)石埼学(龍谷大学教授)石塚迅(山梨大学准教授)石村修(専修大学教授)井田洋子(長崎大学教授)市川正人(立命館大学教授)伊藤雅康(札幌学院大学教授)稲正樹(国際基督教大学客員教授)猪股弘貴(明治大学教授) 井端正幸(沖縄国際大学教授)今関源成(早稲田大学教授)岩井和由(鳥取短期大学教授)植木淳(北九州市立大学教授)上田勝美(龍谷大学名誉教授)植野妙実子(中央大学教授)植松健一(立命館大学教授)植村勝慶(國學院大学教授)右崎正博(獨協大学教授)浦田一郎(明治大学教授)浦田賢治(早稲田大学名誉教授)榎澤幸広(名古屋学院大学准教授)江藤英樹(明治大学准教授)榎透(専修大学教授)榎本弘行(東京農工大学講師)江原勝行(岩手大学)蛯原健介(明治学院大学教授)遠藤美奈(早稲田大学教授)大石泰彦(青山学院大学教授)大内憲昭(関東学院大学教授)大久保史郎(立命館大学名誉教授)大河内美紀(名古屋大学教授)太田一男(酪農学園大学名誉教授)大田肇(津山工業高等専門学校教授)太田裕之(同志社大学教授) 大津浩(成城大学教授)大野拓哉(弘前学院大学教授)大野友也(鹿児島大学准教授)大藤紀子(獨協大学教授)小笠原正(環太平洋大学名誉教授)岡田健一郎(高知大学教員)岡田信弘(北海道大学特任教授)岡本篤尚(神戸学院大学教授)奥田喜道(跡見学園助教)奥野恒久(龍谷大学教授)小栗実(鹿児島大学教授)小沢隆一(東京慈恵医科大学教授)押久保倫夫(東海大学教授)小野善康(岩手大学名誉教授)織原保尚(別府大学准教授)柏崎敏義(東京理科大学教授)片山等(国士舘大学教授)金井光生(福島大学准教授)金子勝(立正大学名誉教授)上脇博之(神戸学院大学教授)彼谷環(富山国際大学教授)河合正雄(弘前大学) 河上暁弘(広島市立大学准教授)川崎和代(大阪夕陽丘学園短期大学教授)川畑博昭(愛知県立大学准教授)菊地洋(岩手大学准教授)北川善英(横浜国立大学名誉教授)木下智史(関西大学教授)君島東彦(立命館大学教授) 清末愛砂(室蘭工業大学准教授)倉田原志(立命館大学教授)倉持孝司(南山大学教授)古関彰一(獨協大学名誉教授)小竹聡(拓殖大学教授)後藤光男(早稲田大学教授)小林武(沖縄大学客員教授)小林直樹(姫路獨協大学准教授)小林直三(高知県立大学教授)小原清信(久留米大学教授) 小松浩(立命館大学教授)小山剛(慶応大学教授)木幡洋子(愛知県立大学名誉教授)今野健一(山形大学教授)斎藤一久(東京学芸大学准教授)斉藤小百合(恵泉女学園大学教授)齊藤芳浩(西南学院大学教授)榊原秀訓(南山大学教授)阪口正二郎(一橋大学教授)佐々木弘通(東北大学教授)笹沼弘志(静岡大学教授)佐藤修一郞(東洋大学教授)佐藤潤一(大阪産業大学教授)澤野義一(大阪経済大学教授)椎名慎太郎(山梨学院大学名誉教授)志田陽子(武蔵野美術大学教授)嶋崎健太郎(青山学院大学教授)清水雅彦(日本体育大学教授)神陽子(九州国大学准教授)菅原真(南山大学教授)杉原弘修(宇都宮大学名誉教授)杉原泰雄(一橋大学名誉教授)鈴木眞澄(龍谷大学教授)鈴田渉(憲法学者)隅野隆徳(専修大学名誉教授)妹尾克敏(松山大学教授) 芹沢斉(青山学院大学名誉教授)高作正博(関西大学教授)高佐智美(青山学院大学教授)高橋利安(広島修道大学教授)高橋洋(愛知学院大学教授)高橋雅人(拓殖大学准教授)高良沙哉(沖縄大学准教授)高良鉄美(琉球大学教授)竹内俊子(広島修道大学教授)武永淳(滋賀大学准教授)竹森正孝(岐阜大学名誉教授)田島泰彦(上智大学教授)多田一路(立命館大学教授)只野雅人(一橋大学教授)建石真公子(法政大学教授)舘田晶子(北海学園大学)田村理(専修大学教授)千國亮介(岩手県立大学講師)長利一(東邦大学教授)塚田哲之(神戸学院大学教授)常岡(乗本)せつ子(フェリス女学院大学教授)寺川史朗(龍谷大学教授)徳永貴志(和光大学准教授)内藤光博(専修大学教授)長岡徹(関西学院大学教授)中川律(埼玉大学准教授)中里見博(徳島大学准教授)中島茂樹(立命館大学教授)中島徹(早稲田大学教授)永田秀樹(関西学院大学教授)仲地博(沖縄大学教授)仲哲生(愛知学院大学)中富公一(岡山大学教授)長峯信彦(愛知大学教授教授)中村安菜(日本女子体育大学講師)中村英樹(北九州市立大学)永山茂樹(東海大学教授)成澤孝人(信州大学教授)成嶋隆(獨協大学教授)西嶋法友(久留米大学教授)西土彰一郞(成城大学教授)二瓶由美子(桜の聖母短期大学教授)丹羽徹(龍谷大学教授)糠塚康江(東北大学教授)根本猛(静岡大学教授)根森健(新潟大学・埼玉大学名誉教授)畑尻剛(中央大学教授)濵口晶子(龍谷大学准教授)廣田全男(横浜私立大学教授)福岡英明(國學院大學教授)福島敏明(神戸学院大学准教授)藤井正希(群馬大学准教授)藤井康博(大東文化大学准教授)藤田達朗(島根大学教授)藤野美都子(福島県立医科大学教員)船木正文(大東文化大学教員)古川純(専修大学名誉教授)前田聡(流通経済大学准教授)前原清隆(日本福祉大学)松田浩(成城大学教授)松原幸恵(山口大学准教授)水島朝穂(早稲田大学教授)宮井清暢(富山大学教授)三宅裕一郎(三重短期大学教授)宮地基(明治学院大学教授)宮本栄三(宇都宮大学名誉教授)三輪隆(埼玉大学名誉教授)村上博(広島修道大学教授)村田尚紀(関西大学教授)本秀紀(名古屋大学教授)元山健(龍谷大学名誉教授)籾岡宏成(北海道教育大学)森英樹(名古屋大学名誉教授)守谷賢輔(福岡大学准教授)門田孝(広島大学教授)安原陽平(東京学芸大学特任講師)柳井健一(関西学院大学教授)山内敏弘(一橋大学名誉教授)山崎英壽(都留文科大学非常勤講師)山崎栄一(関西大学教授)結城洋一郎(小樽商科大学名誉教授)横尾日出雄(中京大学教授)横田力(都留文科大学教授)横藤田誠(広島大学教授)吉田栄司(関西大学教授)吉田仁美(関東学院大学)若尾典子(仏教大学教授)脇田吉隆(神戸学院大学准教授)和田進(神戸大学名誉教授)渡辺治(一橋大学名誉教授)渡邊弘(活水女子大学准教授)渡辺洋(神戸学院大学教授)

 以上208名(2015年10月9日現在)

                      *は事務局

 

 

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