ご挨拶

全国の憲法研究者の有志がブログを開設しました。

1月末から始まった通常国会の会期末、5月15日になって、政府はいわゆる「安保関連法案」を提出しました。

審議が始まるや否や、「法案は違憲である」との指摘が多くの憲法研究者や元法制局長官から出されました。特別委員会では法案の根幹にかかわるいくつもの疑義が出されました。しかし、政府はこれらの指摘や疑義に対し、まともに答えることもできないでいます。他方、世論調査では、時がたつにつれ賛成が増えるどころか反対が増え、賛成は日に日に少なくなっています。

そうであるなら6月24日迄の会期で、この法案は一旦廃案とする、これが憲法の求める民主主義のルールです。ところが、自公与党は国会会期を9月27日まで延長し、何としても法案を成立させようとしています。

審議時間をいくら確保したとしても、憲法違反の法案が憲法違反でなくなるわけではありません。憲法は国の最高法規です。憲法違反との指摘や疑義を解消することなく、与党が議席数という数の力だけでこの法案を成立させるのならば、国家権力の暴走に歯止めをかけている立憲主義は否定されます。審議の時間が重ねられたからというだけで、審議の内容にかかわりなくこの法案を採決するというのならば、国会で審議することの意義は失われます。

このような暴走はけっして許されません。

夏休みをはさむ彼岸過ぎまで、この暑い時期にしかけられた95日間という会期延長は、私たち市民・憲法研究者に対する挑戦です。そこには何としてもこの「安保関連法案」を成立させるという政府与党の強い意思があります。私たちはこの挑戦を受けて立ちます。私たちはこれに屈することなく、安倍政権の憲法「解釈」の問題、法案の問題点を粘り強く指摘するとともに、関係する情報を発信し続けています。

皆さまのご支援とご批判をお願いします。

◆呼びかけ人(13名)
愛敬浩二(名古屋大学教授)
青井未帆(学習院大学教授)、
稲 正樹(国際基督教大学客員教授)
奥野恒久(龍谷大学教授)
上脇博之(神戸学院大学教授)
清水雅彦(日本体育大学教授)
只野雅人(一橋大学教授)
永山茂樹(東海大学教授)
成澤孝人(信州大学教授)
西原博史(早稲田大学教授)
三輪 隆(埼玉大学名誉教授)
本 秀紀(名古屋大学教授)
横田 力(都留文科大学教授)

◆賛同人(7月1日現在、16名)・・・呼びかけ人を含め計29名
浅野宜之(関西大学教授)
石埼 学(龍谷大学教授)
浦田一郎(明治大学教授)
浦田賢治(早稲田大学名誉教授)
小澤隆一(東京慈恵会医科大学教授)
小松 浩(立命館大学教授)
齊藤小百合(恵泉女学園大学教授)
笹沼弘志(静岡大学教授)
菅原 真(南山大学)
長岡 徹(関西学院大学教授)
中里見 博(徳島大学准教授)
長峯信彦(愛知大学教授)
塚田哲之(神戸学院大学教授)
三宅裕一郎(三重短期大学教授)
結城洋一郎(小樽商科大学名誉教授)
渡辺 洋(神戸学院大学教授)

 

追記:以上の7月1日の投稿後も賛同人が増えています。

以下、紹介いたします。

◆賛同人(7月2日以降同月8日まで、8名)・・・合計37

福嶋敏明(神戸学院大学法学部准教授)
川畑博昭(愛知県立大学准教授)
岡田健一郎(高知大学准教授)
大野友也(鹿児島大学准教授)
水島朝穂(早稲田大学教授)
浦部法穂(神戸大学名誉教授)
渡邊 弘(活水女子大学准教授)
和田 進(神戸大学名誉教授)


ご挨拶」への4件のフィードバック

  1. 劣化した政治屋どもの呆れた論理で、
    戦争法案を成立させてはならない、自民党憲法で懐憲などさせてはならない、と思います。
    老若男女、右も左も、全ての良心を結集して平和憲法を護りたい。
    それには護憲のバックボーンが必要です。
    憲法研究者の有志の皆さんの検討をお願いしたい。

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  2. 刑事政策と少年法を研究しています。呼びかけ人の愛敬さんと西原博史さんには、昔、大変お世話になりました。前置きはこれぐらいにして、ご趣旨に全面的に賛同いたします。こんな違憲法案を成立させてしまったら、日本は立憲主義国家と呼べなくなりますし、自衛隊員が殺されることも殺すことも許せません。多忙のため国会前に行くのは難しいのですが、精神的な支援は精一杯させていただきます。

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  3. 軍事費の大幅削減を求められるアメリカ、そのアメリカが全世界的な軍事的ネットワークを維持するために同盟国に相応の軍事力強化と応分の軍事費負担の増強を求め、安倍晋三が憲法を無視してこれに応じたのが安保法政の本質。NATOの東方への拡大、日米安保再評価による西方への拡大。ユーラシア大陸を東西から挟み込むアメリカの戦略は変わっていない。本質はロシア・中国との対抗。その中心はウクライナ・クリミア問題、イスラム国問題、さらにスプラトリー問題、それに尖閣問題が持続していて、アメリカは戦略の重点を「再均衡」させざるを得なくなった。この中で沖縄がヤマトンチュウに突きつける問題の重大性がある。これらに道を開こうとする安倍政権の「解釈改憲」を断じて許してはなりません。四つほど病気が重なり、集会に駆けつけることが出来ません。皆さまのご健闘を心より祈っています。

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